せっしょんのこと。

アイリッシュ音楽と日々のこと。Irish Accordion Player 町田佳菜子のブログ

曲と思い出のこと。10

さぁ、さくっと書くぞ!

先日、YoutubeFacebookに投稿した、Hornpipesのセットのことです(=゚ω゚)ノ


2022年、最初の動画は、

【 Fly by Night / The Eclipse (Hornpipes)】

です!



有難いことに、多くの反響があり、すごく驚いています。
たくさんの“いいね”、コメント、シェア、ありがとうございます(´▽`*)

なんと、この記事を書いている現在、400を超える“いいね”と100件に迫るシェア!!
正直なところ、こんなに反応があるとは思わず、驚きまくっています。

蛇足:以前投稿した動画にも、ブライアンが入りきってないものがいくつかあるんですが、これはブライアンの要望です。「俺いれなくていいから!いれないで!いれるな!」と。私が映りたがりなわけではありません(´Д⊂ヽ
私はブライアンにもちゃんと入ってもらいたいんですけどね。。。


はい。


このセットは、Dan GurneyのCD『Traditional Irish Music on the Button Accordion』に収録されています。ダンのソロアルバムで、伴奏はブライアンです。


まず、ダンについて少し。

彼は、アメリカ・ニューヨークの出身です。特にアイルランド音楽と関わりのある家庭に生まれたわけではないのですが、地域の教会の神父(大司教?)・Charlie Coenが、アイルランド・ゴールウェイ生まれのコンサティーナ奏者でした。ダンはチャーリーからアイルランド音楽を習っていたそうです。その後、Billy McComiskey, Jimmy Noonan, John Whelan, Joe Derrane, John Nolanからアコーディオンを習ったり、影響を受けたりしたみたいですね。

私自身、ダンに会ったのは2009年。私が語学留学と称して1年間アイルランドに滞在したのとほぼ時期を同じくして、ダンもワーキングホリデーでゴールウェイに滞在していました。私の卒業論文にも、ダンは登場している・・・と思ってざっと探してみたんですが、見当たりませんでした(゜-゜) 私がC#/Dアコーディオンを買ってから(なので2010年ですね)、誰かからレッスンを受けるべきかと考えていて、その時にダンと話した記憶があるんですよね。「レッスンするのはいいんだけど、僕はB/Cを弾いてるからなぁ」と言っていたのを覚えています。”卒業論文を読み返す”シリーズを続けてたら、どこかでこの話がでてくるかな?(´・ω・`)


さて、このホーンパイプのセット。ダンは、Joe Derraneから習ったそうです。ライナーノーツ(CDに付いてるブックレット)には、明確に”対面で習った”とは書いていませんが、彼はジョーと親交が深かったようだし、アコーディオンも習っていたし、対面の可能性もありますよね。「Two hornpipes from the playing of ~ Joe Derrane」とあるから、セッションとかコンサートとかでジョーが弾いていて、そこから覚えたのかもしれません。

以前、Lockdown Challengeをした時に、ジョーのCDから1曲ホーンパイプを選んで弾いたのですが(こちら→The Autograph【Kanako's lockdown challenge!】 - YouTube)、その辺りからジョーをよく聴くようになりました。ダンのCDもよく聴いていて、ライナーノーツを読んでみれば、ジョー由来のセット!2022年はこのセットからはじめよう!と思ったのでした(´▽`)


メロディはだいたい頭に入っているし、割とすんなり弾けるようになるかなと思いましたが、大間違い!!めっっっっちゃ難しい曲たちでした( ゚Д゚) B/CとC#/Dという違いはあるけれど、ダンの演奏はとてもスムーズ。難しい曲を全然難しいと思わせないように弾くってすごいですよね。「あぁ、私。なぜこのセットを1発目に選んだの( ;∀;)」とすら思いました(笑)

今回、動画投稿のタイムリミットを決めていました。そうしないとなかなかアコーディオン触る時間を取らないので・・・(^^;
イムリミットの3日ほど前、「よし、ダンほどスムーズには弾けないけど、割と弾けるようになってきた!」と思ったので、ブライアンにピアノ弾いてもらおうとお願いしました。そしたら・・・



「NO!!!!!」


・・・・・・・・・・・( ゚Д゚)


えぇええええええぇえええ!!!!


去年の12月から、「来年は定期的に演奏動画を撮ろうと思っていてね、まずはこのセットをやろうかなって思ってるんだ~。ブライアンにはピアノ弾いてほしいんだけど、どうかな?」っていう話はしてたんですよ。その時は「そうなんだ~、いいね~」という感じで、「嫌だ、弾かない」なんて一言も言ってなかった!


あまりにも強い「NO!!!」に固まっている私に、「リズムが違う、フレージングが悪い」と畳み掛けるブライアン。

今言う!?それ今言うの!?私が練習してたの聞いてたよねー!?えーーーー!?

まぁ、全然指摘してもらえないよりはいいんだけどさ!もっと早く言ってほしかったー!
「ピアノ弾いて」ってお願いするタイミングもよくなかったかもしれないです。。。もっと優しく柔らかく答えてくれるタイミングで聞けばよかった・・・orz


ガガーン( ゚Д゚)と大ショックで打ちのめされている私に気づいて、ブライアン。
「いや、お前が弾いてる感じもいいんだよ。その弾き方が間違っているというわけじゃないんよ。誤解しないでね。たぶんダンがそんな感じで弾いてるんでしょ?でも、ジョーの演奏は?(ライナーノーツには)他には何か書いてあった?Sean McGuireか。ショーンの演奏は?たぶん全然違うと思うよ。」と、ざっくりこんなことを言われましたよ(゜-゜)

地域によってスタイルが違っていたりするので、正解がたくさんあるアイルランド音楽。ブライアンは、(ワークショップや音楽クラスなど公の場では特に)「○○が正しい」とか「それは間違い」とか「○○が1番上手い」とか、そういう言い方はしません。でも、アイルランド音楽を弾く上で、リズムやフレージングはとってもとっっっっても大事。それらがあってこそのアイルランド音楽。だから、私にリズムやフレージングのことを指摘してくれたんですね。


ここからジョーやショーンの音源を探し始めました。いやいや、ライナーノーツに書いてあったんだから、最初の段階でそういう音源も探して聴いときなよって話ですけどね。本当に。こんなんで“アイルランド音楽奏者”なんて名乗ってていいのか(´・ω・`)


さて、このライナーノーツ、ダンのコメントだけではなくて、Don Meadeという人もコメントを書いています。ドンは、演奏家でもあり、アイルランド音楽の研究者でもあるそうで、このCDに収録されている曲たちについて詳しく書いてくれています。

ドンによると、この2つのホーンパイプは、ショーン・マグワイヤー(偉大なフィドル奏者のひとり)が弾いたことで広く知られることになったそう。最初の曲「Fly by Night」は、彼が作曲したそうです。

ちょっと話が前後してしまうのですが、ショーンの演奏音源がないか探していた時に、Frankie Gavin(フィドル)、Daithi Gormley(アコーディオン)とCatherine McHugh(ピアノ)がJoe Burkeのトリビュートコンサートで弾いている動画を見つけました。ジョー・バークとショーン・マグワイヤーは、長い間、演奏パートナーだったそうです。ここで、ダヒーが「この曲は長いこと名前がなかったんだけど、ショーンとジョーはツアー等の際に、夜に移動することが多かったから、それにちなんで”Fly by Night”と呼ぶようになった、とジョーから聞いた」と言ってました。


結局、作曲者であるショーンの演奏音源は見つけられず(”Sean McGuire Plays"というCD?LP?に収録されているらしいとどこかで見たのだけど、その情報もどこにあったか確認できず・・・)、ショーンの大ファンであるフランキーの演奏(前出の動画)をたくさん聴くことにしました。
ジョー・バークも、”Morning Mist”というアルバムに、この曲を収録してます。


次に、2曲目の「The Eclipse」。これも、ショーンの音源は見つからなかったのだけど、ジョー・デラーンの音源はありました。聴きまくりました。

Jim McKillopというフィドル奏者の音源も見つけました。ジムは、フィドル奏者であり、フィドルを作ったり修理したりもしてます。元々、アコーディオンバンジョーを弾いていて、フィドルを始めたのは20代半ばだそうです。ブライアンによると、ジムは誰かにフィドルを習ったわけではなくて、いろんな人の演奏を聴いて学んでいったそうです。中でも、ショーン・マグワイヤーの影響はものすごく受けたそう。(ブライアンは他の情報もたくさん話してくれました。私が「もういいよ、ストップ、ストップ」と言うまで(笑))


こうしていろいろと音源を聴いてみたら、ダンとはまた違った演奏でした。
私がリズムについてあれこれ言うのは100年早いのは承知ですが、ダンと他の奏者と、全然違う感じなのはわかりました。むむむ、ブライアンが言ってたのはこういうことか(漠然と)ってなりました。
※私もブライアンもダンの演奏は好きです。

それから、タッカタッカ弾く人と、タカタカ弾く人と、ふた通りありました。私はタッカタッカで弾いてます。


ちょっと話が逸れるけど、ダンはジョー(デラーン)から習ってたはずなのに、全っ然違う演奏スタイルなんですよね。おもしろい。ダンの演奏スタイルって、なんか独特というか、”彼の”スタイルがあるんですよね。誰の(スタイルの)影響を強く受けている、というのがわからない。ないのか?我が道を行くタイプらしいです。


こうして、主にはフランキー(1曲目)とジョー・デラーン(2曲目)を聴きながら練習し直して、アップした動画のようになりましたとさ。

www.youtube.com




なんか、さくっと書くつもりが、思ったより長くなっちゃいました(゜-゜)


2022年は、月に2回を目安に演奏動画を撮っていきたいなぁと、今のところ思っています。
日本に帰る頃には(いつ帰国できるかわかりませんけど)、パワーアップした演奏を聴いてもらえたらなぁと思います。


では(=゚ω゚)ノ